小さな前進がチームを動かす

冬の向かい風の中で、ボートは思うように進まないことがあります。
今の私たちも同じです。体調不良、試験勉強、就職活動、個々の事情が重なって、練習の強度が揃わず、全体のオールが噛み合わない瞬間がある。

それでも、やる気がないわけではない
むしろ、それぞれの胸の内には「前に進みたい」という気持ちが確かにあります。
いま必要なのは、全員が一気にアクセルを踏むことではなく、それぞれが今の状態で押し出せる“ほんの少し”を持ち寄ることです。

競技は、細部が積み重なって流れになる

ボートは、一本のストロークで勝敗が決まる競技ではありません。
キャッチの角度が1度整うリカバリーで2拍の間に呼吸がきれいに合う最後の10本で脚がもう一度使える——そんな小さな精度の積み重ねが、やがて艇の伸びになります。

・今日、エルゴを+30秒だけでも回す
・体調が万全でなければ、可動域を取り戻すストレッチだけはやる
・乗艇できない日でも、ブレードワークのイメトレを3分はやる
・練習後にミーティングで一言だけ共有する

こうした“ほんの少し”は、単体では目立たないかもしれません。
でも、クルーの誰かの一歩隣の一歩を呼び、シート全体のテンポを変え、気づけばチームの流れになります。

同じ速度で進めなくていい。ただ、方向だけは合わせよう

体調が整わない時期、試験と重なる時期、焦りが先に立つ時期。
それぞれの事情は、弱さではありません。競技と生活を両立する上で当たり前に起こることです。

監督として今伝えたいのは、“全員が同じ強度で”は求めないということ。
ただし、“同じ方向だけは合わせることが重要”。つまり、

・いまの自分ができる範囲で、完全に手放さない
・今日だけはこれをやる、と小さく決めて守る
・できなかった日は、翌日にリセットして戻る

この3つが揃えば、チームは必ず前向きに動きます。

現場は任せる。私は「流れ」と「基準」を守る

練習内容や現場の意思決定は、元さんをはじめコーチ陣に任せています。
だからこそ私は、少し引いた位置から「流れ」と「基準」を見ていかねばと思います。

・流れ:いまチームのテンポは上向いているか、停滞しているか
・基準:やるべき当たり前(時間・準備・共有・整理整頓)は守られているか

いつの時代もそうでした。結果はコントロールできない
でも、流れと基準はいつでも整えられる
その土台の上で、コーチがメニューを磨き、選手が出力を重ねていく。
それが、これからの私たちの戦い方です。

ひたむきさは、気合ではなく「習慣」に宿る

ひたむきさは、特別な覚悟から生まれるわけではありません。
“小さく決めて、静かに続ける”ことでしか育ちません。

・1日の最後に練習日誌を3行だけ書く
・朝起きたら股関節のモビリティを2分だけ
・週に一回、テクニック動画を1本だけ見返す
・乗艇前にブレードの角度を1回だけ確認する

この積み重ねが、やがてボートの伸びとなり、終盤の粘りとなり、
最後の最後に横一線から半艇身を前に出す力になります。

小さな一歩が、やがて全体を押し出す

今は、全員が同じ熱量で走る必要はありません。
でも、同じ方向に、各自の“少し”を出し合うことはできます。

誰かの30分、誰かの3分、誰かの一言。
それらが重なった先で、チームは必ず前に進む

結果はその先にある。
だから今日、できる範囲で自分の一歩を。
その一歩が、艇を押し、仲間を押し、
気づけば私たち全体を前へと運んでくれます。

さて、春練はもうすぐそこまできています。

この春は、ほんの少しの一歩からはじめていってほしいと願っています。

コメント

タイトルとURLをコピーしました