春が来たかと思えば、あっという間に桜が散り始め、季節が駆け足で過ぎていくのを感じます。
今月に入り、予想していた通り通勤電車は人であふれかえり、しばらくは増える一方でしょうね。 別れと出会いが交錯する心弾む季節でありながら、人の多さに少し憂鬱な気分にもなるものです。
今年は久しぶりにセンバツ高校野球を観戦するため、甲子園へ足を運びました。 センバツは夏の選手権とは異なり、まだ仕上がり切っていないフレッシュな1・2年生の新チームが凌ぎを削る大会で、気候的にも観戦にはもってこいです。
夏の選手権には訪れたことがありましたが、春のセンバツは今回が初めて。 改めて、甲子園という場所の魅力を感じる良い機会になりました。
そんな甲子園熱が冷めないまま、Netflixで甲子園を題材にしたドキュメンタリー「フィールド・オブ・ドリームス」を観ました。 Netflixのドキュメンタリーは民放とはまた違った視点や撮影手法が用いられていて、とても見ごたえがあります。
タイトルだけ聞くと懐かしい映画を思い浮かべる方も多いと思いますが、この作品では、とある高校にスポットを当て、甲子園を目指す監督や選手たちの姿を追いかけています。
野球がしたくて名門校に入り、甲子園を目指す――これが球児の憧れであり、彼らが追い求める場所なのでしょう。 では、我々が携わるボート部と何が違うのか。そんな問いを改めて考えるきっかけにもなりました。
特に、大学スポーツという独特な構造の中で考えると、前提条件がまったく異なることに気づかされます。
以下は、AIと一緒に深掘りした内容です。 皆さんもぜひ、改めて考える機会にしてみてください。
⚾ 野球部(高校)
- 入学時点で「野球をやりたい」という強い動機がある
- 競技経験者が多く、競技継続が前提
- 指導者の言葉を受け取る“準備”が整っている
- 多少の厳しさや不満があっても「野球を続けたい」が勝つ
つまり、指導者のメッセージが届きやすい土壌が最初からある。
→今回見たドキュメンタリーで違和感というか、同じ指導者目線で見た時に、我々の環境下では、こうはいかないだろうと違和感を覚えたのは特にこの点です。
🚣♂️ 大学ボート部
- 多くが未経験、競技への執着はまだ弱い
- 「なんとなく」「大学で何かやりたい」レベルの動機も多い
- 厳しさや環境への不満があれば、退部という選択肢がすぐ目の前にある
- 指導者の言葉が届く前に“離脱”が起こりやすい
つまり、指導以前に「続ける理由」をつくるところから始まる。
→指導者うんぬんではなく、自身の内発的動機こそが重要で、人によって「続ける理由」も異なるため指導者は数少ない要因の一つでしかないのでしょう。
🧭 では、この違いをどう捉えればいいのか
① 野球部は“動機の上に指導が乗る”
指導者は、すでにある「野球が好き」「上手くなりたい」という土台に、技術・姿勢・価値観を積み上げていける。
だから傾聴姿勢も自然に生まれ、指導がスムーズに機能する。
② ボート部は“動機づくりからが指導の一部”
ここが本質的に違うポイント。
- 動機を育てる
- 続ける意味を一緒に見つける
- 厳しさの価値を体験させる
- 仲間とのつながりをつくる
これらがすべて「指導の前段階」ではなく、指導そのもの。
つまり、大学ボート部の監督やコーチは、
“競技者を育てる前に、競技者になる理由を育てる”
という、二段階の指導を担っているということなのです。
これは難易度が高いけれど、逆に言えば、教育的価値は非常に大きいわけですね。
そう考えるとなんだか自分たちがやっていることにも少し誇りが持てるような気がします笑
(でもだからと言ってそれに驕ることはないですけどね、所詮…が付きまとうので)
🌱 ③ “人間形成”が届きにくいのではなく、届くまでの距離が長いだけ
私が感じている「思うように人間形成に至らない」という悩みは、実は“構造的にそうなりやすい”だけで、指導者としての力量とは別問題なのかもしれません。
高校野球:スタート地点が指導者の足元
大学ボート:スタート地点がはるか後方(しかも本人がまだ走る気がないこともある)
だから、「届かない」のではなく
「届くまでのプロセスが長い」というだけのことなのかもしれません。
🔍 ④ では、指導者らはどう向き合えばいいか(整理の結論)
- 競技への動機づけも指導の一部と捉える
- 離脱しやすい環境は“悪”ではなく、大学スポーツの特性
- 残った選手は、強い意志を持った“選ばれたメンバー”になる
- 厳しさの価値を体験させる仕掛けを早期に作ることが鍵
- 人間形成は、競技を通じて“気づかせる”形でゆっくり育つ
大学ボート部の指導は、
「競技者を鍛える」だけでなく
「競技者になる理由を育てる」という、
より教育的で、より難しく、より深い営みなのです。
では、新歓時期もあって、動機づけを作る3段階モデルを考えてみましょう。
① “興味”をつくる(入口)
大学生の多くは、最初から「ボートをやりたい」とは思っていない。
だから最初のメッセージは“競技の魅力”よりも“体験の魅力”を前に出す方が刺さる。
🔑 キーワードは「未知の自分に出会える」
- 「大学でしかできない経験」
- 「未経験からでも伸びるスポーツ」
- 「仲間と一体になる感覚」
- 「自分の限界が変わる瞬間」
ここではまだ“厳しさ”は語らない。まずは「ちょっとやってみたい」を引き出す段階ということです。
② “続ける理由”をつくる(初期)
ここが大学ボート部の最大の勝負どころ。
🔥 ポイントは「早期に成功体験を与える」
- 初回のエルゴで“伸びる感覚”を味わわせる
- 先輩が横でフォームを褒める
- 10分の軽い乗艇で「艇が伸びる感覚」を体験させる
- 練習後に「今日の成長ポイント」を必ず言語化して渡す
人は「成長を感じた瞬間」に続ける理由が生まれる。
そしてここで初めて“厳しさの価値”を語る
- 「この成長が積み重なると、想像できない景色が見える」
- 「厳しさは、あなたの伸びしろを引き出すためにある」
- 「続けた人だけが見られる世界がある」
“厳しいけど価値がある”ではなく、“価値があるから厳しさを受け入れられる”という順番が大事なのですね。
③ “仲間とのつながり”をつくる(定着)
大学スポーツで最も強い動機は「仲間」。
- 練習後の短いミーティング
- 先輩が1対1で声をかける
- 小さな役割を与える(タイム係、準備係など)
- 「お前が来ると雰囲気が良くなる」などの承認
人は「自分の居場所がある」と感じた瞬間に辞めなくなるものです。
そして、この定着には、指導者の存在ではなく、部員たちの存在、個性、そして魅力が何よりなのです。
つまり、新歓とは自分の魅力をいかに研ぎ澄まし、伝え、魅了するか、これほどない成長機会なんだと気づくのではないでしょうか。
今回、新歓にあたっては、元さんをはじめ、今までにないほどの意見交換で、それぞれがアイデアを出して挑んでくれました。
結果はこれからですが、毎週続いていく、試乗会を経て、晴れて5月の入部に目標とする人数は集まるのか、私たちも大いに期待しているところです。
結果がすべてです。それでも今年、この新歓を通じて、今まで以上に皆が成長する機会になっていればそれもいつかは財産になります。
もしかすると入部を検討してくれている新入生もこのブログの存在に気付くかもしれません。
ですから、月並みの言葉ではありますが、私からもメッセージを残しておこうと思います。
「ボートは、大学に入って初めて出会う人がほとんどです。
だからこそ、ここには“未知の自分に出会える”という特別な価値があります。
最初は誰もが未経験。けれど、努力がそのまま前進に変わる瞬間が必ず来ます。
その手応えを一度味わえば、続ける理由は自然と生まれます。
厳しい練習もありますが、それはあなたの伸びしろを引き出すための環境です。
仲間とともに成長し、自分を超えていく喜びを、ぜひ一度体験してほしい。
ここには、あなたが変わるための舞台があります。」
ボート部と皆の成長を願う、一指導者より。


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