もう11月が終わろうとしています。1年って本当に早い……と、皆さんが毎年感じる時期ですね。
私も当然、何度「1年って本当に早い」と口にしたことでしょう。
でも、個人的にはこの秋から暮れにかけての季節が、1年の中で一番好きです。
秋雨前線が過ぎ、冬の到来が近づくと、空気が澄み、日中は青空が広がり、夜にはイルミネーションが美しく映える季節だからです。
先週末の3連休は、再び「コーチ3」の研修を受けるため、長野の諏訪湖へ行ってきました。
今回も3日間フルでの講義。心身ともに疲労を感じずにはいられず、今週は再び体調を崩し寝込んでしまいました。
戸田スプリントで完全燃焼した自分の体は、やはり限界を超えていたようで、しばらくはこんな日々が続きそうです。
それでもようやく研修を終え、あとは資格取得を待つばかり。ただ、最終日に行われた筆記試験については……言うまでもなく、さっぱりでした。
というのも、合計6日間の過密スケジュールで詰め込まれた内容を、あれだけのボリュームの試験で答えるのは、かなりの負荷だと思います(苦笑)。
もちろん、私以外の方は出来栄えが良いのかもしれませんが、試験というものは最後まで粘らず、終えれば早々に退席するのが昔からのポリシー。今回もいの一番で会場を後にしました。
どうか追試のレポートなど来ませんように……。
さて、そんな研修では学びも多くありましたが、「これは……」と思う内容もありました。
それでも、学んだことを少しでも現場で生かすことが私の務め。今回はその中の一つ、「スポーツマンシップ」について触れてみたいと思います。
ちなみに、これは講師から学んだ内容を、自分なりの解釈も交えて書きます。
スポーツマンシップとは?
スポーツ界の問題、社会における課題の共通点は「人災」です。
すべて「人」に関わる問題だからこそ、解決する唯一の手段は「教育」であると言われています。
ですから、スポーツ界の諸問題を解決し、スポーツを通じて社会貢献を実現するための最重要キーワードが「スポーツマンシップ」なのです。
では、この言葉、どこで聞きましたか?
恐らく多くの方は「選手宣誓」と答えるでしょう。
「宣誓!我々は、スポーツマンシップに則り、正々堂々戦うことを誓います!」というあれです。
では、この「スポーツマンシップ」を説明できますか? そして「スポーツマン」とはどんな人か、説明できますか?
広辞苑では「運動競技の選手。またスポーツの得意な人」とありますが、これは正しい説明とは言えません。そもそも言語化できない言葉なのです。
だからこそ、言葉の定義を丁寧に確認することから講義は始まりました。
スポーツの愉しさとは?
スポーツの愉しさとは「勝利」です。勝利を目指して全力を尽くすことが大前提。
ただし、単なる勝ち負けだけでなく、成功・達成・上達・成長など、自分の中の勝利もあります。
そして、スポーツを愉しむために必要なのは「相手」という存在。ここでいう「相手」は敵ではなく、仲間でありプレーヤーなのです。
レースで並ぶ相手も決して敵ではなく、大切な仲間。相手がいるからこそ、勝利して喜び、愉しむことができるのです。
スタート前に「よろしくお願いします」、レース後に「ありがとうございました」と声をかけること。これは、相手をどう見ているかの裏返しです。
スポーツマンに求められる3つのキモチ
- **尊重**:自分以外のものを大切に思う気持ち
- **勇気**:失敗を恐れずチャレンジする気持ち
- **覚悟**:困難を受け止め、全力で愉しむ気持ち
この3つが整っている人を「スポーツマン」と呼びます。
**Sportsman = Good Fellow(よき仲間)**。つまり、スポーツマンは「他人から信頼される人」に与えられる称号なのです。
化けの皮がはがれる瞬間
それは「敗北(失敗)」した時です。
負けた時に、
* 他人のせいにしない
* 勝者をたたえる
* 敗因を考え、反省し、再び努力する
そう、**Good Loser(よき敗者)こそ、究極のスポーツマン**なのです。
仙台育英学園高等学校の須江監督は甲子園決勝で敗れた際、こう言いました。
「スポーツですから、負けた時に人間の価値が出る。だからグッドルーザーであれと言い続けてきました。お互いをリスペクトし合えるチームが安定して成績を残している印象があります。」
スポーツの構造
* 勝利を目指して全力を尽くす価値
* 戦う相手がいるから愉しめる
* 他者を理解する意義
* 「スポーツをする」=「敗北を覚悟する」
この複雑な構造を理解し、スポーツを愉しむことが重要です。
**勝って驕らず、負けて腐らず。ラグビーで言うNo Sideの精神ですね。**
スポーツマンシップとは?
「Good Gameを実現しようとする心構え」です。
そのために、**尊重・勇気・覚悟**の3つを発揮し、Good Gameを実現することが大切。
スポーツマンシップを見つめ直し、自分の中にある「誇れる自分」を発見し、言語化し、実践し続ける。それが私たちに必要なのです。
**たかがスポーツ、されどスポーツ。**
人生にも通じる「正解のない複雑さ」を愉しめるのもスポーツなのです。
ボート部へのメッセージ
この先、私たちボート部がいつか夢である日本一を成し遂げるかもしれません。
それでも、その勝利は敗北や失敗を積み重ねた先にあるでしょう。
だからこそ、良き敗者として、常にスポーツマンシップを忘れずにあり続けてほしいと願います。
全日本新人の優勝後、白川が艇の上に立ち喜びを表現しました。
かつては優勝後に艇上に立つことが勝者の特権のように扱われていましたが、今は安全面や敗者へのリスペクトを考えれば肯定されるものではありません。
あの時は「まさか優勝するとは」という状況もあり、きちんと伝えていなかった指導者の私に責任があります。
もちろん、立ち上がりたくなる衝動はよく分かります。私自身、先日のエイト優勝後に喜びを爆発させました。それもスポーツを通じた勝利という価値です。
ですが、敗者を知るからこその勝者。ボートは紳士なスポーツです。
勝者だけでなく敗者も称えることが、スポーツを通した本当のインクルージョンなのです。
来季に向けて、この講習が一つの学びとなりました。
講師を務められた中村聡宏先生に感謝するとともに、一人でも多くの方にスポーツマンシップを知っていただきたく、教材を引用させていただきました。ご了承ください。
さて、ボート部諸君、これからの自分たちがどうあるべきか、今一度一緒に考えてみましょう!


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