BE THE WAVE.

無事に、青山学院大学ボート部創部60周年記念パーティーを終えることができました。

ご参加いただいた皆さま、本当にありがとうございました。

久しぶりにお会いする先輩方。卒業してからも変わらずボート部を気にかけてくれているOB・OGの方々。そして現役部員。

世代も、ボート部に在籍していた時代も違う人たちが一つの場所に集まり、昔の話をしたり、今のボート部について話したり、会場のあちらこちらで、そんな光景を見ることができました。

この日のために準備してきた側としては、無事に終わった安堵感ももちろんあります。

でも、それ以上に、「こういうことなんだろうな」と感じた時間でもありました。

60年という歴史は、年表の中にあるものではありません。

そこに関わってきた一人ひとりがいて、その人たちがもう一度集まる。

その光景そのものが、60年かけてこの部が築いてきた財産なのだと思いました。

本当にありがとうございました。

 

60周年に、なぜブランドなのか

今回のパーティーでは、少しお時間をいただき、私からこれからの青山学院大学ボート部についてお話をさせていただきました。

題して、BRAND & FUTURE 2026です。

「ボート部にブランド?」

そう思われた方もいたかもしれません。

別に格好いいロゴを作りたいわけでも、新しいキャッチコピーを作りたかったわけでもありません。

60周年という節目だからこそ、私たちはどんなチームなのか。

そして、これからどんなチームになりたいのか。

一度きちんと言葉にしておきたかったのです。

でも、今回の取り組みを単なるブランドづくりではなく、60年を振り返りながら「私たちはどんなチームなのか」「これからどこを目指していくのか」を言葉にするものとして説明しました。

当日は会場にお越しになられなかった方々にも知っていただくために今回はこのブログで、改めてお伝えさせていただきます。

 

今回、療養期間中に「60年の歴史をたどる」というシリーズを書きました。

創部。
継承。
発展。
転換。
再生。
そして未来。

調べれば調べるほど、青学ボート部が決して順風満帆な60年間ではなかったことが分かりました。

部員が増えた時代もありました。全国の舞台で結果を残した時代もありました。

一方で部員が数名になった時代もあり、ついには活動そのものが止まった時代もありました。

それでも、その時代その時代に、「この部を大切にしたい」と思った誰かがいました。

だから今日があります。

そう考えると、60周年は昔を懐かしむだけの日ではありません。

次の世代へ何を残すのかを考える日でもあるのではないか。

今回のブランドプロジェクトも、そんなところから始まりました。

 

青学らしく、ローイングに挑む

これからの青山学院大学ボート部が掲げるビジョンを、

「青学らしく、ローイングに挑む。」

としました。

ここでいう「挑む」は、競技で勝つことだけではありません。

もちろんレースに出る以上、勝ちたい。インカレでも上位を目指したい。

これは今後も変わりません。

でも大学スポーツの価値は、それだけではないと思っています。

自ら考える。

自ら行動する。

仲間と力を合わせる。

目標へ向かって試行錯誤する。

失敗する。

そこでまた考える。

ローイングを通じてそんな経験をし、その経験を水上の先の人生へつなげていく。

それが私たちの考えるチームの姿です。

これは「60年の歴史をたどる」の最終回で、卒業生たちへ書いたことともつながります。

ボート部で経験したことの意味を、いつか人生で回収してほしい。

競技生活の中では、「あの経験に何の意味があったんだ」と思うことだってあるでしょう。

でも5年後、10年後。仕事でも、家庭でも、まったく違う何かでも。

「あの時の経験があったから」と思える瞬間があれば、それでいい。

むしろ、そこまで含めて大学スポーツなのではないかと思っています。

 

ボートだけの4年間にしない

そして、私たちなりの「青学らしさ」についても考えました。

たどり着いた言葉が、

「ボートだけの4年間にしない。でも、ローイングには本気で挑む。」です。

大学生活にはボート以外にもいろいろあります。学業もある。アルバイトもある。留学をしたい人もいる。他にも大学生だからこそできる経験があります。

そのすべてを我慢してボートだけをやりなさい、というチームにしたいわけではありません。

大学生活を広く生きてほしい。

でも。

艇に乗ったら、本気でやる。自分で選んだ目標には本気で挑戦する。

自由だから適当でいい、ではない。自由だからこそ、自分で選び、自分で責任を持つ。

そんなチームでありたいと思っています。

資料では、これを「自由さと本気、その両方を選ぶ」と表現しました。

これが正解なのかは分かりません。

きっと数年後には、また変わる部分もあるでしょう。

でも今の私が考える「青学らしいローイング」は、こういうものです。

 

私たちが欲しかったのは「人数」ではなかった

そして、今回のブランドについて考えている時には、まだ完全につながっていなかったことがあります。

それが「60年の歴史をたどる」を書いたことで、少し見えるようになりました。

現役時代の私は仲間が欲しかった。部員が二人になった時、そのことを痛いほど感じました。

監督になってからも、もっと部員がいたら。もっと大きなクルーを組めたら。そう思ったことは何度もあります。

今の部員たちだって同じでしょう。

もっと仲間がほしい。もっといろいろな艇に乗りたい。エイトだって組んでみたい。

その思いはよく分かります。私自身がそうだったからです。

でも60年間を振り返ってみて、少し考えが変わりました。

私たちが本当に欲しかったのは、ただの人数ではなかった。仲間だった。

同じ目標へ向かう仲間。一緒に挑戦する仲間。苦しい時に支え合う仲間。そして、次の世代へ何かを残そうとする仲間。

だから、ただ20人集めればいいわけではありません。

人数を増やすだけではなく、「ここで一緒にやりたい」と思ってもらえるチームをつくらなければならない。

今回の資料でも、5年後に目指す姿を、単なる人数増加ではなく「強さと魅力が循環するチーム」としました。

強くなる。その姿に人が惹かれる。仲間が増える。できることが増える。さらに高い目標へ挑戦する。

そんな循環が生まれたらいいと思っています。

 

そこで生まれた「BE THE WAVE.」

そして、これまで受け継いできたものと、これから目指したい姿。

その思いを一つの言葉にしたものが、

BE THE WAVE.

です。

私はパーティーで、「私たち自身が、変化を起こす存在になる。」という意味を込めた言葉だと説明しました。

誰かがやってくれるのを待たない。人数が少ないから。環境がないから。だからできない。

そうやって諦めるのではなく、自分で考えて、自分で動く。そして仲間を巻き込んでいく。

一人ひとりが起こした小さな波がクルーへ広がり、チームへ広がり、やがて次の時代を動かしていく。

そんな意思を込めています。

そして60年の歴史を書き終えた今、ようやく気付きました。

「仲間が欲しい」と「BE THE WAVE.」は、別々の話ではなかったのだと。

誰か一人が動く。その姿を見て誰かが加わる。一緒に挑戦する。やがて仲間になる。

そして、その仲間たちが今度は新しい挑戦を始める。

つまり、一人が起こした小さな波が仲間を巻き込み、やがてチームの波になる。

振り返れば、この60年間、青学ボート部がやってきたことそのものなのかもしれません。

 

受け継ぐ。変える。つなぐ。

今回のプレゼンの中で、もう一つ大切にした言葉があります。

「受け継ぐ。変える。つなぐ。」です。

伝統を大切にする。でも過去と同じことを続けるだけではない。

受け継ぐべきものは受け継ぎながら、その時代に合わなくなったものは変える。

そしてまた次の世代へ渡していく。

60年の歴史を振り返ると、青学ボート部はずっとそうしてきたのだと思います。

創部した人がいた。

その人たちの思いを受け継いだ人がいた。

大きく発展させた人がいた。

苦しい時代に残った人がいた。

再び立ち上げた人がいた。

学生が一人になった時代にも、それでも続けた人がいた。

誰かが起こした挑戦を、誰かが受け取ってきました。

そうやって60年になりました。

 

次の60年の最初の世代

そして、ここからは今の部員たちの番です。

これもパーティーで話しましたが、今の現役部員は、次の60年の最初の世代です。

おそらく今いる学生たちは、60年後の青学ボート部なんて考えていないでしょう。

当然です。

今から60年前の先輩方だって、2026年にどんなチームになっているかなんて想像していなかったと思います。

でも、一人ひとりがその時代に挑戦した。それが積み重なって今があります。

だったら今の部員たちも、思い切って挑戦したらいい。

成功してもいい。失敗したっていい。自分たちで考えて、自分たちで動いてみればいい。

その挑戦が、もしかすると10年後、20年後。

あるいは60年後の誰かにつながっているのかもしれません。


 

60周年はゴールではありません。ここから、次の60年が始まります。

そして次の60年は現役部員だけではつくれません。監督やコーチだけでもつくれません。

OB・OG。保護者。大学関係者。ボート部を応援してくださる皆さま。これから出会う仲間たち。

いろいろな人が関わりながら、また新しい歴史がつくられていくのだと思います。

昨日、会場に集まってくださった皆さまの姿を見て、改めてそう感じました。

60年間、本当にありがとうございました。

そしてこれからも、青山学院大学ボート部をよろしくお願いいたします。

受け継ぎながら、変えていく。

仲間とともに、高い目標へ挑む。

そして、私たち自身が、新しい波になる。

BE THE WAVE.


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