運命は時に残酷である

インカレ三日目となる今日。本来であれば準々決勝が行われるはずであったこの日、予想外の出来事に見舞われました。

台風13号襲来は久しぶりの関東地方直撃かと報道されたように少なくともこのインカレ三日目が平穏無事に開催されるとは到底思えませんでした。

ですから前日の時点で、午前中のレースは中止、午後からレースを時間短縮して行われるという情報はあるものの、朝の時点ですでに結構な量の雨が降っており、このまま雨足が強まると予想されることから今日のレースがないことは容易に想像もできました。

そしてその開催可否を本日10:30までに発表されるということで、それをひたすら待ち続けました。もちろん、そんな中でもこの想定外の休みで土曜日からの連戦に備えて準備をする、そういうつもりで誰もがいたことでしょう。

予定通り10:30を前に本日のレースは中止と決定がされました。そして昼過ぎに新たに発信されたのが午後の急遽のレースプラン変更というものでしたがそれを見て唖然としたのです。

その概要はこうである。

・準々決勝を予定していた種目のシングルスカル、ダブルスカルはこれを省略し、準決勝の2組だけが行われる

・この準決勝に進出するのは一昨日の予選1位通過の6艇、そして昨日の敗者復活戦で総合タイムが4位以内のクルーのみ

・それ以下はタイム順に決勝EからCへ自動的に割り振られ、それをもって順位とする

以上が、突如決定されて組み合わせと同時に公表されたのだから驚きを隠せませんでした。

当然これに対して多くの大学が異議申し立てをオープンチャットを通じて行ったとされますが、JARA側の見解としては「大学連盟と十分に協議の上、決定したものです」との掲載のみでそれ以上の説明がなされることもありませんでした。

レース短縮にあたっての手法は他にいくつもあったでしょう。

準々決勝を準決勝として行う、土日の時間にまだ余裕があるためそこに組み込む、いずれにしろ既に勝ち上がっているクルーも当然その先の進出決定レースがあるものと誰しもが疑いもしませんでした。

ですが、こうした期待は無情にも裏切られ、それ以上はないと通告されているのです。

敗者復活戦を1位で抜けたクルーも準決勝に進めない非情な方法であり、これがスポーツ、結果の世界での出来事と言うならば説明だけは真摯に対応してほしかった、と残念な気持ちでなりません。

当部としては出漕した2クルーがいずれもこの憂き目にあい、準々決勝が運命を決める大一番と見込んでいたものが、こうして明日の順位決定戦のみとなったわけである。

今日、私自身も選手らと会っていないためこれをどう受け入れたかを知る由もありません。

ただ、明日のレースがもう1レース残されていること、そして我々はどんなレースであれ、1着至上主義を目指していること、そのためにこれらの葛藤を一度忘れ、明日のこの1レースのみに気持ちをもっていき、そこにすべてをぶつけてほしいとだけメッセージとして伝えました。

もうそれ以上に言葉が出てこなかったのが正直なところです。

もちろんこれは当部だけが悲運に見舞われたものではありません。

そのため何が正しいか、この過程がどうか、主観的に主張するつもりは毛頭ありませんが、私が一監督として、ここまで4年間育ててきた鏑木の最後にこれは本当に残念に思えてなりませんでした。

今のボート界に4年生世代は非常に少ないと見受けられています。

これはこの世代がコロナ初年度の世代であり、何もかもが制限されて大学生活を開始し、過ごしてきたからだと感じています。

本来であれば味わえたはずの新勧、他の多くの同級生部員、練習日数、試合数、これらを様々な制限によって閉ざされながら過ごしてきたのに、ここでまた非情な運命を背負わされることには腹立たしさすら感じるのも本音です。

ようやく掴んだチャンスがこんなかたちで終わりを迎えそうだと知り、明日は何を思ってレースに挑むでしょうか。それを考えるといたたまれない気持ちになるのです。

ですが、それでも彼はこの1戦にすべてを懸けてくれると信じたいと思います。

また、多くの大学生が明日、様々な思いでレースに挑むことでしょうから、一つでも多くのレースを見届けていきたい、そんな思いで今晩は過ごしています。

立場をわきまえず、少し感情的な投稿となり申し訳ありません。それでもやはり悔しい気持ちは選手たちと同じです。

もちろん明日は笑って送り出し、精一杯の声援を送り、笑顔で出迎える、それだけが唯一の私のできること、そして仕事ですから。

運命は時に残酷であるものの、この機会があることだけは感謝をして、明日を過ごしていこうと思います。

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