インカレ2025の第3部作を書き終え、ひとまず満足感に浸っていたのも束の間。気がつけば、筋肉痛を抱えながら週明けを迎えていました。
先週末はありがたいことに、私自身も少し休養を取ることができ、実家へお忍びで帰省していました。しかし、帰るやいなや監督業としての日々が再び始まりました。
週の中頃には、飯尾とのサシ面談や、新たにスタッフとして迎えることになったmotoさんとのミーティングなど、練習再開前からすでに活動は活発化していました。
そして迎えた週末の練習再開。私は土曜日の仕事終わりから合流しましたが、部員たちは元気な姿を見せてくれていました。
チームとして次に目指すのは、来月開催される東日本新人戦。昨年に比べて日程的な余裕もあり、この間しっかりと休息を取れたことは、きっとプラスに働くはずです。
とはいえ、レースまで残された時間は約3週間。限られた期間で何ができるかは分かりませんが、今季の最終目標でもあるこの大会に向けて、やれることはしっかりやっていこうという思いは、皆に共通していると感じています。
特に気がかりなのは、唯一の女子漕手・菜名ちゃんのシングルスカル。
ほぼ初めてに近い状態から3週間でレースに臨むというのは、一見すると難しく思えます。しかし、今後もスカル種目が続いていくことを考えれば、焦らず基礎から丁寧に教えていく必要があります。週末は彼女に付きっきりで指導を行いました。
冒頭で筋肉痛の話をしたのは、そう、土曜日の午後から3モーションすべてでシングルの並漕やダブルでの同乗など、久々に体をフル回転させた結果です。
それほど強度の高い漕ぎではなかったにもかかわらず、体にガタが来たのは、私自身の運動不足が露呈したのと、ボート競技がいかにエネルギーを消費するかを改めて実感したからかもしれません。
それでも、3回の付きっきり指導で一定の成果は見られ、週末の課題であった「翌週以降の一人での練習」に向けて、なんとか漕ぎ出せた感触を得られたと思います。
しばらくは私自身が彼女をメインでサポートし、上級生たちにも協力をお願いするつもりです。
一方、男子クルーには日曜日の練習から、新コーチ・motoさんが初指導として参加してくれました。
初回の顔合わせでは、部員たちも緊張した面持ちでしたが、練習後のミーティングでは和やかな雰囲気も感じられました。
今回、外部から新たにコーチを招聘した理由はいくつかあります。
それは、私自身の指導力不足によって結果が伴っていないことへの反省、日々の練習管理の徹底、そして技術のさらなる探求のためです。
部員たちがこれをどう受け止めているかは分かりませんが、これが必ずやチームにとってプラスになると信じています。まずは皆が受け入れる姿勢を示し、「良くなるため」「勝つため」の前向きな思考を持ってほしいと思っています。
そのためにも、指導者間で方針の齟齬がないよう、週中に改めてミーティングを開催しました。
これまでのやり方に固執するのではなく、これからの未来に向けて、私自身が考える理想の指導者像を言語化し、共有しました。指導方針については、恐らくスタッフ間で共通認識が持てていると感じています。
以下は、そのすり合わせに用いた内容です。
【ボート部としての最終目標】
“日本で最も憧れられるボート環境を創造する”
・競技力において日本一を目指す
・日本一の選手の育成・輩出する
・日本一魅力的な組織風土を築く
【指導者個人としての基本方針】
・指導の属人化を避け、独裁的にならず、学生の主体性を尊重する
・学生が自ら学び、成長できる環境を整える
「常に自分を振り返りながら学び続ける姿勢」 、「選手と共に成長する姿勢」を持つ理想的な指導者像(グッドコーチ像)を追求し、指導者自身も学び続ける場として、部活動を位置づける
【部員らに求めること(グッドプレイヤー像)】※自身の考える優先順位
1.競技への愛着と理解:ボート競技を愛し、意義と価値を深く理解し、尊重できる人
2.主体性と創造性:自ら考え、工夫し、行動できる人(自立、課題解決力)
3.感謝と敬意:自分を支えるすべての人々に感謝し、信頼・尊重できる人
4.模範的な行動:社会の一員として自覚を持ち、モラルを理解し遵守できる人
5.前向きな姿勢と粘り強さ:困難に直面しても前向きに取り組み、乗り越える力を持つ人
6.チームワークと協調性:仲間を信じ、励まし合い、高め合える人
7.思いやりと公平さ:優しさと共感力を持ち、差別や偏見を持たない人
【スタッフ間の共通目標】
2027シーズンまでに全日本大学選手権で入賞すること
→現部員及び2026年入部者を目標達成可能なレベルまで引き上げることが必要
【喫緊の課題】
・技術面:ローイングに関する基礎知識の習得と理解
・技能面:理解した内容を水上でのパフォーマンスで実践させる
・体力面:基準タイムのクリア
【課題解決のためのアプローチ】
・スタッフが一体となり、各自の経験と知見を活かして部員を支援する
・考えの相違があっても互いに尊重し合い、部員の主体性を引き出すための「気づき」、「学び」を重視する
・スタッフ間で否定的な姿勢を取らず、協調・連携を図り、共通の方向性(ベクトル)をもって取り組むことが重要
こうして改めて書き記すと、少し綺麗すぎるようにも感じますが、有言実行のためには、まずはこれらを自らの姿勢で示していく必要があると思っています。
また、部員たちにもきちんと伝えておくべき内容だと考え、ここであえて記しました。
いずれにせよ、我々スタッフはこれから一枚岩となって、ボート部が共通の目的を持ち、目標に向かって再スタートしていきます。どうぞ温かく見守っていただければ幸いです。
そんなわけで、インカレ後、新体制でのスタートを切った週末でした。
部員たちと一緒にアップをしている時、久々のせいか「人数が多いな」と感じる場面もあり、昨年の“3人だけ”だった状況とは対照的な印象を受けました。
そして、土日とも午後の練習には前主将の淡路も参加してくれていました。
やはり淡路の存在は安心感があります。卒業するまで、そして卒業してからも、ずっとボート部に関わっていてほしいと心から思いました。
そう、青山学院大学ボート部は、世代が替わろうとも、指導体制が変わろうとも、いつの時代もこうして「陽はまた昇る」を繰り返してきたのです。
これからも、この物語は続いていくことでしょう。
そこに携わる者として、同じ思いを胸に。
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