技術と意志の再構築

今週は雨続きで、気分もどこか沈みがちです。

先週末は土日とも午前はどちらも仕事のイベントがあり、午後の練習にのみ顔を出しましたが、今日を含めると何連勤になるのか…。3連休も研修で休みを取れず、すでに3週間ほど休みなく働いている気がします笑。

その中で週末の練習や火曜日のトレーニングにもなんとか顔を出していますが、毎朝欠かさず練習に来ている元さんに比べればまだまだです。とはいえ、さすがに自分も連日の疲労で日に日に体は重くなってきました。来週こそは少し休みを取りたいところですが、この天気では気分も晴れませんね。

さて、ボート部は東日本新人戦を終え、クルーを一旦解散。現在は小艇に乗り換え、スカル種目に挑戦しています。これは元さんを中心に話し合った結果で、私も賛成しています。この機会にハンドルワークを学ぶことで、本当の意味でのテクニックを習得してもらい、来季のクルー編成にも活かしてほしいと思っています。

先週末はその様子を見に行きました。まだ不慣れながらも、楽しそうに漕ぐ姿が印象的でした。土曜日には徳谷と髙橋にダブルスカルでグリップの重要性を直接指導。ボート競技は、頭で理解しても水上で表現するのが難しいもの。

ましてや正しい知識がないまま癖がつくと、後の修正が大変です。だからこそ、今の段階で正しい感覚を身につけてほしいと思っています。ハンドルワークにおいてなぜグリップが大切か、そのためにどういう使い方をするかといった点を二人には特に重点的にレクチャーをしました。

実際に私が一緒に漕いだ際は意外と漕げていましたが、二人だけになるとやはり苦戦をしていました。今は安定して漕ぐことが目的ではなく、正しいグリップとハンドルワーク、そして自らバランスを取る力が必要です。初心者がスカルに慣れてくると、擦りながらでも一見漕げているように見えることもあるのですが、これは傾いていないというだけで、真のバランスではありません。

それでも本人たちは漕げるようになったと錯覚し、水中プレッシャーやレートを上げられることに満足して速くなった気になるなんてケースもよくありますが、それでは必ず限界が訪れます。

そうして誤魔化しながら、やれダイレクトエントリーだ!戻りキャッチをなくしていこう!と難しい技術の向上を目指すのですが、そもそもバランスを操れない時点でそれは不可能に近いのです。だからこそ、最初の一歩が大切。今、正しい知識と感覚を身につけることが、後の成長につながります。

また現代だからこそ、しっかりとデータの民主化になぞらえた情報の民主化を生かし、SNSや YouTube上にある世界の技術に目を向け、より短期間で技術の再構築を図ってほしいと思います。

我々の時代にはこうした映像が手軽に入手できることなんて考えられもしなかったわけですが、今はこうしたありふれた情報をどう取り入れるかこそ重要なわけですからね。

元さんが陸から細かく指導し、練習後にはフィードバックにあわせて参考動画も提供してくれています。それをどう受け止め、改善につなげるかは本人次第ですが、今だけは、我々指導者の言葉を信じてやってみてください(笑)。

その好例が菜名ちゃん。新人戦後も日に日に上達しており、吸収力と表現力には本当に感心させられます。天性のものかもしれませんね。

一方、スカル種目に苦戦する徳谷・髙橋の一年生コンビを横目に、18kmメニューを淡々と漕ぎ続ける飯尾・仲村のクルーもさすがです。仲村はまだ経験も浅くぎこちないものの、飯尾はテクニック面、特にバランス感覚では良いものを持っています。

両クルーは来月の戸田スプリントに向けて、切磋琢磨しています。そこでどんな成長を見せてくれるか今から楽しみです。

日曜午後には、舵手種目を一時休止したため、シングルスカラーとして再挑戦する花岡に付き添い伴走しました。しばらく漕ぎ手から離れていたハンデはありますが、コックスとして活躍するためには、自らボートに触れ、知識を蓄えることが必要です。シングルスカルは難易度が高いですが、自分のペースで考える習慣を身につけるには最適なのです。

こうして白川を除く選手たちは、新たな挑戦を始め、冬シーズンに向けて再び走り出しました。週の半ばには元さん、結城さん、亮太とスタッフミーティングを行い、これまでの過程と今後の目標をすり合わせました。まだ体制が始まったばかりなので、定期的なコミュニケーションを重ねていきたいと思います。

 

練習以外でも部の環境は少しずつ変化しています。飯尾が練習スケジュールを見える化し、元さんがメニューを提案してくれることで、計画的な行動が可能になりました。新人戦以降は平日も泊まりを前提とした早朝練習を導入。寒さも増し、しっかりとした睡眠環境を整えるために三段ベッドの導入も決定しました。合宿所が住環境化する懸念もありましたが、ルールを設けて運用していく予定です。

こうして練習前後の食事や生活スタイルにも変化が生まれ、ボート部は今、大きく変わろうとしています。青学らしく、常識にとらわれず、新しいスタイルを築いていくことが大切です。
何より、モチベーションを高く保ち、前向きに練習に取り組める環境づくりが重要です。冬はどうしても気持ちが沈みがちですが、「乗艇したい!」と思える日々をどう作るか、これもまた私たち指導者の腕の見せ所です。

ちなみに、今年2月の城崎合宿では冷たい雨の中でも「乗艇したい!」と前向きな声を上げていたのは、うちの部員たちだったと結城さんが話していました。
劣悪な環境でも前向きに取り組める――それこそが青学ボート部の強みです。この良き伝統を、皆で継承していきましょう。

*本日のワンショットは戸田橋から撮影した荒川の水上に浮かぶボート競技者たちです。まるであめんぼのようですね。

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