小さな一本は明日への大きな一本

まさに小春日和と言えるような暖かさです。もう今日で2月も終わり、明日からいよいよ3月に突入です。年が明け、月日が流れるのをもっとも早く感じると言われる時期ながら、それを改めて実感します。企業や学校で言えば新年度、新学期を迎えるにあたり、ますますこれから多忙を極めることでしょう。

私はと言うと前回の投稿でも触れましたが、腰痛が日に日に悪化し、土曜日には歩くことにも支障がでてきました。すでに今日で4日目になり、このままではまずいとうちの先生に相談したところ、すぐにブロックを打とうと即決され、午前中のうちに打ってもらいました。

おかげさまで痛みはだいぶ和らぎ、腰の張り、背中の緊張も楽になってきました。もともと腰痛持ちではあるものの、今のフィジカルトレーニングを始めたことで、たまに違和感はありながらも、ここまでの痛み症状自体が出ることはほぼありませんでした。ですので、やはり体力の衰えと普段の自己管理不足だなと改めて痛感しているところです。

それでもこうして自分がピンチの時に手を差し伸べてくれる環境というのはありがたいものです。どうしたの?大丈夫ですか?と明らかに歩き方すら不自然な自分に対して、声掛けしてくれるのも嬉しい反面、情けなさもあるのですが、やはり人は人に支えられながら生きていることを実感します。そういう意味では職場環境にはいつも恵まれています。

異動して早1年が経とうかというところですが、何も出来ない自分がこうして過ごせているのも周りの方のおかげだと日々感謝の気持ちに堪えません。だからこそ自分は自分で出来ることを精一杯やっていく、そしてより良い組織、職場環境を作ることが使命なのでしょう。

そんな自分も古くから面倒をみてくださる上司に数日前は恩を仇で返してしまいました。それも今の職場を自分なりにより良くしていくためと思っての提案だったわけで、誰かが口にしなければいけないこと。忖度して言わないより、言って砕けろという性格ですから後悔はないのですが、真意を伝えるということはやはり難しいことですね。

そもそも無鉄砲は考えものですが、本音をはじめとするコミュニケーションは双方にとって理解を深めるために必要なことだと思っています。そういう意味では主将の鏑木は言いたいこと、思ったことをきちんと伝えてくれます。監督であっても私の指示も絶対ではありません。ですからまず必ず彼に確認をするように心がけています。

そんな中、彼は自身の考えをきちんと述べてくれるので、二人の目指すべき方向や考えもここで折り合いがつくのでしょう。もちろん下級生たちもそういった環境下にあって、なるべく忌憚のない意見をくれているのだと思います。今の部員数だからこそ、特に一人ひとりの考えをしっかり聞く時間を意識的にもっていくつもりでいます。

さて、本題がなんだったか分からなくなる前置きでひたが、そんな腰痛を抱えた中での先週末。土曜はあいにく仕事で参加できませんでしたが、日曜は恒例となるエルゴ測定から参加しました。この日は午前中から、こ 『これぞ戸田の春』と言わんばかりの強風が吹き荒れ、一日を通してさすがに出艇している数も少ない一日でした。

また先週のエルゴ測定を見ていて気になったアップの取り組みについて、まだ基準タイムをクリアしていない鈴木、吉澤に伝えるべく、通常の集合時間から30分早めて開始してもらいました。実施内容は恒例となった練習前の動的ストレッチからエルゴでのTD、UT(約10分)、短漕のインターバルですが、時間にして30分ほど念入りに体を動かしてもらいました。

結果、この日も二人は記録更新はならなかったものの、体の動きが普段と比べてどうか、また心拍数の上がり方など、どうであったかが今後の一つの指標になってくるのだと思います。レース前アップやこうした測定前アップはしない方が動くという稀な人間もいますが、大方は必要だと私は思っています。

ただその量や時間には個人差があるので、どの程度の負荷が適切か自身で見つけておかねばいざ勝負をかけた本番の時に不安を抱えて挑むことになりかねません。人事を尽くして天命を待つのは普段の練習からもそうですが、少なくともこのアップに関しても、何の不安もない状態で迎えることが必要なのです。もちろん勝負を賭けるその時が来ることを前提に。

この日は練習後の全体MTGでも3クールを終えて、4クール目に突入しての現在の感想を皆に述べてもらいました。ここまで全員がそれなりの手応えは持っているようですが、現在の記録からはまだ半信半疑といったところなのでしょう。

ちなみにこの日も淡路だけは飛ぶ鳥を落とす勢いの如く、レコード記録を塗り替えました。これで部内のエルゴ記録保持者は現時点で彼となりました。この状況は先輩らをどう刺激するのか、きっと他人事ではなく、危機感を皆が持っていると信じたいものです。

そんな淡路は目標記録にはあと1秒と迫りましたが、漕ぎ方そのものを修正するという課題もありますので、こちらはもう少しじっくり見て、教えていこうとも思います。それでもやはり攻める者の姿勢というのは、このエルゴを見ていた全員を刺激してくれたことでしょう。

ことボート競技に関して言えば、何度も言ってきているように日々の積み重ねがすべてです。今日だけ、いえ、この練習だけ、この1kmだけ頑張ったから成果がでるものではないのは誰もが知っています。その日の練習距離が15kmであれば漕いだ本数のうちその何本を真剣に全力で向き合えていたか、これに尽きると思います。

今春は漕ぐ距離のうち4割はMAX強度で行うように目標を掲げました。もちろん4割などといった中途半端なものではなく、本来であれば毎本、その距離すべてが全力であるのが自然であり、当然でもあることでしょう。それでもあえて4割としたのは、毎日となって気持ちの持続がどこまで続くものなのか、そこには競技経験者として私も疑問を持ちます。

もちろん私自身は日々全力であることを必要と感じて、それ以降は毎本全てにおいて強度を意識し、継続できる距離を日に日に増やしました。ある程度の戦績を残している選手というのは言わば当たり前というか普通の感覚なのでしょう。もちろんやる側に言うまでもなく、誰もが常に自分はMAXだとは思っているんでしょう。それでもそこに対して自分は?と疑問を持つことからすべてが始まるのです。

昨日より今日、今日より明日と、昨日の自分を超えていくこと、ここではこれをMAXという表現に置き換えていますが、こなすだけと思って取り組む水中強度と、先を見て、目標に向かって、成長する自分を描きながら取り組む水中強度はまったくの別物なのです。宿題を終えようとこなすだけの勉強、受験や学力が上がることを目的とした勉強に意味が違うのとまったく同じですね。

そういう意味では、ここからもう一皮剥けていく必要があるのも感じています。明日から3月となり、残り約一か月。毎日のその一本がこれから先に直結しますので、このタイミングでミーティングを開き、こうした話しを伝えることができたのも良かったのだと思います。

またこの日の午後の練習、そしてその後のミーティングでも顕著に感じられることがありました。前述した通りこの日は強風で、特に午後の時間帯には出艇した艇は数えるほどでした。部員らも出す前は終始嫌々な素振りを見せていましたが、まずは1周でもいいから漕いで来ればいいんだとお尻を叩き送り出しました。結果、確かにこの強風は酷だなと思いつつも、試合は恐らく行われるレベルです。そしてそんな中で、何をするかこそが、それぞれの課題でもあるのです。

腰痛を抱えながら自転車の方がまだ楽でもあったので伴走をしながら、人が少ないこともあって珍しく陸から声掛けをしました。風で出来ないと諦めたらこの練習に意味を持たないと。4人でのクォドながら恐らくこの時点で考えていること、行っていることはまさに四者四様だったと見えました。

ですので、練習後のミーティングで鏑木が口にしてくれた『こんなコンディションだからできること、そう考えて切り替えていくことも大事だ』という発言こそ、やはり最上級生であり、主将としての考えそのものなのだと思います。

この強風に限らず、眠いとき、体調がわるいとき、気分がのらないとき、当然、今回の天気のような外的要因以外に日々のコンディションは様々です。それでも強い者、勝ちたい者は言わずもがなで、その時の取り組み方が他とは違うのです。小さな一本(一歩)は明日への大きな一本(一歩)なのですから。

集中しろ!なんて周りが言葉で叱咤するのではなく、自分を奮い立たせてやることの意味を持たせること、これこそがまさにこの春に学んでほしいことなのです。これはまさに今の仕事でも痛感します。尻を叩いてしかやらない人間はどこかで楽を覚えます。だからそういう教育や育成はしたくない、それが私なりの主張なのです。(また仕事の話しに戻ってしまいました笑)

そんなことを考えながら陸から彼らを眺めていさました。監督が決めた目標ではなく、自らが成し遂げるべき課題、目標として悔いのない日々を過ごしてほしいなと熱いまなざしをを送っていたその時だけは痛みを忘れてもいましたが、すべてにおいて気持ち一つなのですね。

気持ちを育む、毎度同じような話しになりますが、これこそがまさにボート競技でも仕事でも私が常に伝えていきたいことですね。何のためにやるかを考えればそれしかないのですから。
その先に結果、成果がついてくると信じて。

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