さて、気づけばゴールデンウイークが過ぎ去りました。
人によっては休み方次第で、もしかするとこの週末まで引っ張っている人もいるかもしれませんが、多くの人は今日からまた通勤、通学の日々でしょう。
となると、いわゆる『五月病』というのが、これから襲ってくるでしょうから、皆さんもお気をつけくださいね。
ボート部はと言えば、週末には戸田レガッタへの出漕を果たし、翌日からも変わらず練習を淡々とこなす連休だったと思います。(みんな本当にご苦労様です)
春らしい天候に恵まれたその戸田レガッタについて少し振り返ってみたいと思います。
まずシングルスカルで出漕した飯尾ですが、今回の目標は4分を切ることと設定していました。
迎えた初日はいつもなら穏やかなコンディションで行われるシングルスカルのレース時間帯でも強風が吹き荒れ、まさかのラフコンとなりました。
それでも追い風ともあって、気持ち的には余裕を持てたでしょうし、お花見レガッタで課題となった後半500mの失速も見られませんでした。
予選では1艇だけ社会人クルーが独走状態となりましたが、それ以外は横一線となる混戦のレース展開。
そんな中、ゴールまで競り合った艇を最後の最後で差し切り、2位でフィニッシュ。追い風の恩恵はあれどタイムは4:00.68と目標に近いところまで迫りました。
迎えた翌日は決勝Bレース。タイム的にもこちらも混戦が予想されましたが、スタートから各艇に出られる厳しい展開を強いられます。
前日とは打って変わって、無風で漕ぎやすかったものの、そのコンディションはむしろ他艇に味方したのかもしれません。
最後の最後になんとか1艇と接戦に持ち込むものの最下位でのフィニッシュとなり、総合9位でレースを終えました。
両日とも後半500mの失速こそなかったものの、前後半が1秒もないタイム差ということもあって、自らレースを作ることなく終え、目標タイムも到達できませんでした。
飯尾に関しては技術の向上は見られるものの、やはり課題はフィジカル面にあるでしょうから、今後更なる漕ぎ込みで力をつけていくしか他ありません。
2週間後にはこの前半シーズンで一つの山場ともなる東日本夏季競漕を控えています。そこでの飛躍に期待しましょう。
そして、今回、ペア種目で初のレースを迎えたのが白川、淡路です。
昨年から種目を変更し、思うように乗りこなせず苦戦を強いられていたものの、なんとかレースパドルくらいは漕げるように成長してきました。
とは言え、この時期のペア種目となると出漕自体も少なく、海外クルー2艇、国内クルー2艇という戦前は国際レガッタのような組み合わせに映りました。
実際には1艇の棄権が発覚し、結果的には3艇レースとなり、全艇が時間を読み間違えたのかスタートデッキにも2分前を過ぎて到着するというハプニングもありましたが無事にスタートを迎えました。
そして不安視されていたスタートもまずまずの飛び出しを見せ、R大と1位をめぐって一進一退の攻防を繰り広げた前半戦でした。
このペアの時間帯になると午前まで追い風だったコンディションが完全な逆風となり、ラダーワークも定まらず両艇が審判艇から常に注意を発せられるレースでもありました。
それでも中盤あたりからは地力を見せた当部のクルーが抜け出し、一時は1艇身半近くのリードを保つものの、後半で再度差を詰められ、最後は約1艇身差でフィニッシュ。
初のペア種目レースで1位通過とし、レース後には白川から懇親のガッツポーズまで飛び出していました。(でも予備レースなので喜ぶのは明日勝ってからにしてと内心思いましたが)
迎えた翌日も同じく逆風のコンディションでした。昨日のレースで少し余裕を持てていたように感じましたが、決勝に現れたのは昨日競り合ったR大のみ。
海外クルーは残りの1艇がこの日も棄権し、結果的には国内クルーのみ。そして同じ十字ブレードのマッチレースとなったのでした。
発艇の合図とともに昨日とまったく同じようなスタート、そして展開でレースは進んだものの、少し違ったのは両艇のレーンが逆になっていることと、500mの通過も逆になっていたことでした。
それでも地力で追い付き、追い越すだろうと見ていたところ、むしろここからR大に差を付けられ、スパート前には約1艇身ほどリードを奪われていました。
さすがに焦りもあったのでしょうけど、スパートを入れようとした矢先に白川のオールが水をとらえ切れず虚しく空を切り、その後の二本目にはいわゆる腹切り状態で体が後ろに流れて万事休す。
完全に停止した艇を再度漕ぎ直して進めたものの、終わってみれば前日に負かした相手に10秒以上の差を付けられてのフィニッシュでした。
昨日、ゴール後にガッツポーズして喜びを見せたのとは対照的に、喜ぶ相手クルーを見て、彼らは何を思ったでしょうか。
この大会のレース前、彼らに伝えた言葉は「勝ち負けの結果ではなく、中身こそ重要」だということです。
それでもやはり相手があるレースで並んだ以上、勝ちたくなるのも必然です。
結果、予備レースでは見事に1着でフィニッシュし、初陣を飾りましたが、決勝レースでは失敗と反省を経験しました。
当然、落ち込む彼らも全日本に向けてどうすべきか、問いかけてきました。
終わったことにくよくよするより、これを生かしてどう次につなげるか、本来であればそこを考えることを優先するのですが、私がぶつけた言葉は「己を知るべき」でした。
日本最高峰のレースにエントリーし、残り3週間ほどでそのレースを迎えますが、私は監督という立場でありながら勝つことを望んでいません。
今できる最大限のパフォーマンスは勝負ごとより、現状でどこまで戦えるかを知ること、として考えています。
ですから、今の時点でも未完成であることは承知の上であり、だからこそ今回も現状できるパフォーマンスを発揮してほしいのがこのレースの目的でもありました。
練習で出来ないことは当然試合でもできません。なんせファインプレーのような奇跡的なプレーなどない競技なのですから。
2000mというレースであれば約200数十回の漕ぎでいかにミスなく、丁寧に艇を進めるかを必要とするわけですから、そこを理解してほしいと思っています。
言わば漕ぎ方次第で、それを持続できればそれがタイムにも結果にもつながります。
うちより速いクルーがなぜ存在するか?それはうちより多く正確に、多く強く漕げるからです。
言うならばそういう練習を積み重ねているから勝っているのです。
やみくもに漕いで練習量を増やしても、結果が伴わないのも当然です。
でもだからこそ、見方を変えれば、経験年数や競技歴に勝る方法だってあるのです。
そのためにも今は「己を知る」ことなのです。
そして、そのためにも、これからは「急がば回れ」なのです。
これから全日本までの期間でどうしたらいいでしょうかという問いに対して、私が今彼らに伝えられることは実は一つもありません。
もちろんこういうメニューや最善とも思える方法を一応は伝えました。
でも一番言いたい、考えてほしいのは、『インカレに向けてどうしたらいいか』ということなのです。
今できないことを疎かにしても目標にはたどり着けません。
でも4か月後の今日(9月7日)は笑っていたい。そう思うからこそ、現状を真摯に受け止め、ただひたすら探求していくほかないのです。
その中ではきっと自分たちだけでは見つけられないこともあるでしょう。だからこそ、教えを乞うことも必要です。正解をもっている人も多くいるわけですから。
それでも結局のところ、正解は自分たちでしか見つけられないし、自分たちでしか答え合わせもできないのもこのボートという競技です。
いや、ボート競技だけでなく、どんな競技においてもそうですよね。
「こうしたらいい」、とプロが言ってそのまま実行して同じようにプロになれたら苦労はないですから。
でも本当にプロに近づくためには、その教えの中から答えやヒントを自分たちで見つけ、実践して結果に結びつけていけることなのです。
正解とはそういうものなんだと思います。
仮にもし一つ、目標を達成できる方法を言うなら答えは簡単です。
「エルゴで6分30秒を切りましょう!」これも一つの答えです。
さて、どこを目指すのか、現実から目を背けず、邁進していきましょう!
なぜ世の中の多くの人が、思ったように頑張ることができないのかを一言で言うならば「一人の人間の中で2つの願望がぶつかりあっているから」だそうです。
自分で決めたことを実行できないのは、単に意志が弱くて誘惑に負けてしまうからではありません。
自分の願望や夢を育てていないからなのです。
願望や夢を大きく育てることができれば今まで面倒だったり、嫌だと思っていたことも、その願望や夢を叶えるために『やりたいこと』に変わるのです。
つまり、頑張るための方法は「頑張らなければいけない」→「頑張りたい」という状態を自然に導くだけなのです。
勝ちたいという意欲が強いが故の今回の失敗。白川の「勝ちたい」があれば必ずや導いてくれるし、たどり着けるはずです。
淡路がもし4年間競技を続けてきて、己の限界を勝手に決めつけたり、強い選手に敵わないと決めつけているなら、むしろそれはチャンスです。
まだ知らない己に出会えるのですから!
己を知れと言ったり、知らない己に出会えと言ったり、こんなハチャメチャな監督ですが、誰よりも皆を応援していますから。
決戦まで残り4か月。さぁ、どうする?
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