ポジティブ発想な指導方法

サッカーと野球というまったく異なるスポーツについて考えたことはあるでしょうか。
ただ、観る側、する側の立場は多くの方が経験されたことがあるでしょうから、球技としてのそもそもの違いはお分かりでしょう。

でも指導という立場から見ても、競技によって大きな違いがあるのではないかと思っています。

どちらの競技も基礎が大事であることに変わりはないですが、そのゲーム性の違いによって、上達していくアプローチの仕方も大きく異なります。

野球は、ある程度「投げる・打つ・キャッチする」ができないと、野球としてそもそも試合が成り立たないので参加をしても決して楽しめません。(出場していても当事者になれないとそもそもつまらないですよね)

ですから、最初にキャッチボール、素振り、などの技術練習から入り、一つひとつの技術を積み重ねていきます。投げれるようにならなければ・・・打てるようにならなければ・・・キャッチできるようにならなければ・・・試合を楽しめない。ですからその部分を徹底的に指導者が求めるでしょう。ボートもこれに近い気がします。

一方、サッカーは技術がなくても、十分に競技として楽しめることが特徴です。

もし、サッカーも同じようにドリブルを上手くならなければ・・・リフティングをうまくならなければ・・・シュートが上手くならなければ・・・こうした技術練習から入っていくとどうでしょうか。
もちろん実際にはこうした技術が初期段階でも必要でしょうけど、とっつきやすさという点でも大きな違いはあるのだと思います。

この入口が違うことによってゲームや競技の本質への向き合い方が選手も指導者も異なっているのではないでしょうか。

特に、野球、柔道、剣道・・・をはじめとして日本が得意とするスポーツは、基礎の型をしっかりと作り上げてから、試合をするというスポーツが多いと思います。野球も「野球道」と言われることもあるくらいですよね。

当然極めた選手のプレーを観ることは面白く、そこまでの努力が見えると尚更面白さを感じさせてくれます。スポーツに限らず、仕事でも、基礎から一つひとつを丁寧に積み重ねて、質の高い最終形に持って行くことを我々日本人は得意としています。

しかし、何事もトレードオフの関係が存在している以上、「丁寧に積み重ねることで、失い、育たない部分がある」のも事実なのです。

指導者の指導の仕方、上司から部下への指導の仕方ひとつをとっても、こうしたことは顕著にあらわれます。

そもそも海外でサッカーを教える場合、海外の子どもたちは、あまり言うことをきかないので、練習が面白くなかったら帰ってしまうそうです。国民性なのか、自分を主張する前提で行動しているから、何かを教えても言われたとおりにはしない、できないことが多く、自分の意志で自由に行動することを教える必要はないから、サッカーを教えることはある意味で容易なんだと言います。

決して野球が悪くて、サッカーが良いという話しではありません。あくまで代表的な一つの例としてあげたまでで、野球にしろ、サッカーにしろ当然すべてがこれに当てはまるわけではないのですから。

ただし、指導の仕方についてはここから学ぶことはないでしょうか。
またボート競技においてはどうでしょうか。

安全面の配慮が必要なので、してはいけない、こうすべき論は無数にありますが、本来は進むことを最優先すべきです。漕ぎ方、力の使い方、そんなものに正解はなく、勝った者が勝者なのですから、教え方にも工夫が必要です。

そして進むことを最優先して考えさせるなら、『なぜ』、『どうしたら』、ここを自らが考えて追及すべきところで、そもそもこれがダメといった間違った方法なんてないのですから。

学生らは初心者の新入生を教えるにあたり監督が教えた方が、、、と言います。もちろん危険を回避させ、適切に教えるには自信があります。

でも危険度という部分を除いては、まず好きなように漕がせ、進むことの体験を彼らが教え、楽しさを伝えることの方が重要なのです。型にはまった教えをしていくことで、物事の気付きや本来の楽しさを忘れさせているのではないかという錯覚にも陥ります。

漕げるようになれば、次は勝ちたい、勝つために速く漕げるようになりたい、という願望、欲望が向上心につながります。その時に監督は、こうしたらどうかとアドバイスはしますが、これはいけない、こうしてはダメというネガティブは伝えてはいけないのだろうなと。

何事も指導はポジティブの発想から生むべきであり、楽しくプレーする、楽しく学ぶという大前提が重要なのだと思います。

もちろん正しくない指導方法や、失敗につながるものは否定をして止めなければなりません。ですが、自ら考えてもらい、実践して学ぶまでが一つの成長過程であり、その見守りこそが指導者としての重要なのですから、こうした視点を持たねばと常々感じます。

いつしか凝り固まった考えを押し付けがちな自分も、もっと周りを生かす指導に変えていかなければいけませんね。

そんなことをふと思い、なんとなくの思いで今日は書いてみました。

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