受け継がれていく思い

朝晩が少しずつ涼しさを感じるといよいよ秋も近づいてきているのだなと感じます。

それでも今週は日中にまだ30度を優に超えるわけですから、もうしばらくは夏の余韻を楽しめそうです。

インカレ最終日。結局、私自身はコースに行くこともなく、結果だけを記録で確認しました。

その日の夕方に開催した打ち上げで、部員も結城さんも現地で観戦したと聞きましたが、私自身、やはり当部が出ていない最終日を観戦する気になれない、それが正直な気持ちです。

2年前こそ、当時まだ部員は鏑木、鈴木、吉澤の3名でしたが、来年はこの舞台に立つんだとお忍び観戦を共にしました。

ですが、振り返ってみてもいつもそう。どこの大学が勝とうが、誰が頂点に立とうが、他人事でしかなく、どこか冷めているところもあります。

でも、だからこそ、必ずこの最終日に残っていたい、決勝の舞台に立たせたい、そんな思いを年々強くしていっているのです。

当部がレースを終えた日、結城さんとささやかな慰労会を開催しました。後に鏑木も交え、珍しいスリーショットで語り合いました。

そこでは二人のボート好きを象徴するようなマニアックなコメントを楽しみつつ、よくよく思い返してみると、これまであまり部のことを共に語らう相手がいなかったため、こうして今、出来ていることに嬉しさを感じたものです。

監督に就任して以降、いつしか1人ですべてのことを背負ってきました。それこそコロナ禍にあって、誰にも救いを求めることができずにいましたが、新たなチームのかたちを作るんだと奮起し、鏑木と向き合ってきた4年間でした。

こう言ってはなんですが、当時多くのことを犠牲にもしました笑

それでも今自分にとって何がもっとも大切で必要か。それはやはりボート部であり、人生を懸けて再起すると誓った以上、今でも最優先はこのボート部にあります。

OB会の元会長である赤尾さんが亡くなる前にボート部のことを大変心配されていたと、その盟友である石原さんからお聞きしました。

赤尾さんは私が現役時代のOB会長であり、石原さん共々、本当にボート部のことをいつも心配され、何より我々部員らをいつも励まし、支えてくれました。

だからこそ、こんなにボート部のことを想い、託してくれた方々のために今私ができることはこの部をどの時代よりも輝かしいものにすることだと思っています。

赤尾さんが逝去されたと聞いたとき、よりその思いは強くなりました。

もちろんお二人のみならず、多くの方がこの部に強い思いをもってくださっていることは寄付や支援を通じても感じています。

今年も石原さんからインカレ後に労いのメッセージをいただき、あなたを信じ、任せて本当に良かったと仰ってくれました。

この言葉に救われ、特にこの4年間、失うものはありながらも得たものの大きさを改めて知ったのです。

結城さんらとの小宴の帰り道、いつもの戸田橋を歩いて渡りながら、夜の荒川の水面鏡に照らされる月を見て、悔し涙と嬉し涙がこみ上げてきたのはそんな思いが一気に頭の中に駆け巡ってきたからだったのでしょう。

 

こうして静かに幕を閉じた2023年のインカレ・・・。

翌日から仕事に戻り、日常に戻った気がしつつも、気を緩めることなく、部員らには色々とメッセージを発しました。

彼ら、彼女らもたまの休みに、、、と嫌悪感すらあったかもしれませんが、気持ちを途切らせることなく、新人戦まで駆け抜ける。それがインカレ前に決めていたことですから申し訳ないと思いつつ、頭を切り替えていきました。

そして昨日は早々のトレーニングで一同が顔を揃えました。

そこには当然、引退した鏑木の姿はなく、誰一人口にはしなかったものの違和感を覚えたのは言うまでもありません。

久々のトレーニング、且つ、6名が密室で行う環境にあって酸欠の一歩手前という状態もあり、皆、本当に苦しかったと思います。

それでもインカレの打ち上げで自ら口にしていた通り、淡路が誰よりも声を出し、自身が引っ張っていくんだと言わんばかりに皆にゲキを飛ばしていたのも印象的でした。

一つの時代の終わりが、また新しい時代を生む。ボート部が続いていけば、思いや意思はいつだってこうして受け継がれていくのです。

私自身もそうです。何かを犠牲になんて偉そうに述べましたが、そんなことはまったく必要もなく、強い意志、思いがあれば、より良いかたちへ変えていけるのだなと教えてもらうことにもなったのです。

部員たちは本当に逞しいものです。

昨年のインカレを終えた後、つかの間のオフとし、年中無休のトレーニングだけは実施していたものの欠席が多くありました。

それでも今年は全員が参加し、次なる目標へ向けて、それぞれが思いを胸に再スタートを切ったのですから、それが今の強さでもあるのでしょう。

昨年のインカレ後、終わりは始まりと題して、投稿しましたが、今年もまさにそう。

新しい時代の幕開けを感じた瞬間でもありました。

そしてそれはもう一度、自身を奮い立たせてくれる活力にもなるのです。

こうした環境に身を置き、年々充実していく部の姿に自信と誇りを持つことができています。

お金、地位、名声・・・。今の私にとってはそんなものよりも大切なものをハッキリと口にすることができます。

多くの出会い、信頼、そして共にする仲間など、人がすべてを与えてくれます。

そんな人々が作る環境、これ以上に価値のあるものなどなく、必要とすら思えません。

私の人生において欠かすことのできないこの監督人生、与えてくれたすべての方々に感謝を。

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