ありのままのボート部の今を伝えたい

今年に入ってからは大抵決まった時間の決まった車両に乗って出勤しています。

いつもの顔ぶれ、いつもの時間、なんの変化もないこの日常の始まりが案外落ち着くので、刺激や変化を口にしつつも私自身は元来はそんな性分なのかもしれません。

職場の最寄り駅に到着する時間もほぼ毎日同じ。

すると日の出が日に日に早まっていることを改めて感じます。今朝は昨晩の雨も上がり、朝日が顔を覗かせていたからか、すっきりと明るい青空が広がっていました。

今日の都心の最高気温は23度ということですから初夏のような暖かさなのでしょうね。

週末のボートコースもこの時期としては本当に暖かく、時折吹く南風が心地よさすら感じさせるくらいでした。

例年春には荒れたコースコンディションに振り回され、代替の練習方法にも頭を悩まされますが、今年は一向にそういった報告を受けていません。

ロングレースが行われる今週末に向けてはまた少し気温も下がるようですが、今年は本当に暖冬のありがたみを感じています。

さて、週末の練習では今週もエルゴトライアルとして恒例の2000mチャレンジを行いましたが、先日早々にレコードを記録した飯尾がまたしてもタイムを縮める快漕を見せました。

そして淡路についても目標タイムこそ達成しなかったものの、勢いそのままに自身のレコードをあっさりと更新しました。

春練開始をして2週間。年末年始休みで衰えた体を戻すことが今月の課題かと思いきや、二人は早々にエンジンがかかってきているのです。

当部のエルゴ測定は一風変わっています。

日曜日のエルゴメインメニューは実は5分漕の4セットで設定していますが、この1セット目はタイムを5分に設定するわけでなく、2000mの距離に設定します。

2セット目以降の5分漕ではレートも指定しますが、この1セット目に関しては、チャレンジの意味もあってフリーにしています。

私がタイマー5分を設定し、スタートの合図と同時に計測を開始しますが、選手らは同時に2000mチャレンジに挑みます。

目指すは自身の目標タイムから設定したLAPタイムで挑み、まず5分間維持することが一つの目標になるのですが、記録さえ出そうであればそのまま2000mチャレンジを継続します。

そして記録達成さえすれば残り2セット目以降の5分漕は免除されるという特典もついてきます。

この日は5分の終了合図を告げたものの鈴木を除いては二人はそのまま果敢に最後まで挑んだわけですが、恐らく記録更新を出せる手応えを途中で感じていたのでしょう。

淡路に関しては私も真後ろでそのLAPを見ていましたが、昨年をはるかに上回るパフォーマンスで、LAPタイムが大きく落ちることもなく、安定した漕ぎを見せていました。

結果、自身の目標タイムこそ及ばなかったものの、この時点での記録達成はあくまで通過点であり、いよいよ春練中には目標タイム達成が視野に入ってきたのかもしれません。

ちなみに青山学院大学ボート部のエルゴレコードホルダーは私ですが、恐らく更新されるのも時間の問題でしょう。

それでも後輩たちが歴史を塗り替えていってくれることの喜びを指導者として嬉しく感じるもので、この日の飯尾の漕ぎを見ても底知れない成長に楽しみすら湧いてくるのです。

この2000mチャレンジは精神的な負担やプレッシャーから解放して、まずは記録を出すことを優先にしています。

実際のレース本番、勝負レースからは決して逃げられない状況で戦いを挑む必要があるため、こうした本番さながらのタイムトライアルも当然行いますが、今は伸び伸びと記録を伸ばしていってほしい、そういう思いからこの方法を考案しました。

そして先々はその一発本番でしっかりとレコードタイムもしくはベストタイムを出せるようにしていくことが、必要ですのでいわゆるメンタルトレーニングなんかも行っていかねばと考えています。

一方でこの日、ただ一人きっちりと5分で終えてしまった主将の鈴木に関してはその後、一人で黙々と残り3セットに取り組みました。

それでも鈴木に関して言えば今は良いイメージをもってエルゴに向き合うことが必要です。

ある意味、エルゴ慣れしてしまっているためか、LAPが維持できない一種の病に侵されてもいます。

それでもそんな鈴木のエルゴを見ながら、見学にまわった淡路や飯尾がアドバイスをし、声出し応援をするわけですから、当部本来の良さである全員で成長していく姿勢が見えたのも嬉しいことでした。

こうしてブログだけを読まれている方の中には3人しか名前が出てこないことで部員が減ったと心配されている方もおられるかもしれませんが、この日も午後には吉澤が顔を出し、乗艇練習に参加しました。

吉澤については自身が抱える問題と向き合いながらも最後の1年を全うすべく取り組んでくれています。多くを語らない性格でもありますが、以前よりしっかりと参画意識をもってくれ、今は乗艇練習のみですが励んでくれてもいます。

そしてもう一人の1年生の上野もケガで戸田を離れて生活していますが、ちょうど昨日、経過の報告が本人からもありました。まだまだ時間をかかりそうですが、ここで焦ることなく復帰すれば彼もまた淡路に劣らぬ選手に成り得るでしょうから、皆が復帰を今か今かと心待ちにしています。

そんな上野の不在の間に飯尾がこれだけ成長しているわけですから、上野自身には焦りもあるのかもしれません。それでもこの成長はチームの成長につながります。

たった5人の部員でも練習の方法、そして互いの関係性によってここまで成長するのですから、このボート部の環境、風土はオススメできるはずです。

TAの智帆ちゃんが作成してくれているリール動画も視聴者が1万人を突破したようです。

うちの部の関係者なんてたかだか知れているので、きっとボート界、そして高校生、新入学生なんかもきっと見てくれているのだと妄想しています。

今、私たちが部員集めとして出来ることはこうした生の声や実際の雰囲気を今はやりの『○○映え』なんかではなく、正確に伝えることだと思っています。

私たちは決して自分たちを良く見せたいなどと背伸びはせず、ありのままで過ごしています。

そこには期待を胸に飛び込んできた学生らとのミスマッチを避けたいという思いもあるからです。

今はSNS時代。映えること、反響を呼ぶことに重きが置かれていますが、こうした時代だからこそ、ありのままの自分、ありのままの部活像を伝えていくことが必要と考えています。

ここに来ればきっと理解してもらえるという自負もあります。

大いなる志を持って取り組めるこの環境、風土は我々の誇りです。そしてこれは確実な成果と共に自信にも変わってきています。

先日、当部のここ数年を支えてくれた社会人選手と久々に会い、退職する報告を受けながら話をする機会がありました。

その時に私がふと口にしたことは「あと5年以内に頂点まで行ってみせる」という宣言です。

なんの確信もないことですが、でも今なら出来る、初めてそう思えるだけのボート部がここにあります。

言葉にすることは力になります。だからこそ、この場でも発信しておくことにします。

入部前の学生もこのブログを読んでイメージをつかんでくれていることもよく耳にします。

であれば尚更、伝えておきたいのです。

ありのままの今、そしてこれからの目指すべき先を。

我々は共に戦いを挑む方を心から待ち望んでいます。

青山学院大学ボート部を知った方がもしこうした考えに共感できるならば是非この門を叩いてみてください。

そしてそれは部員というかたちだけでなく、共に応援してくれる方も大歓迎ですので。

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