インカレが終了して、今日で2日目。
おそらく、この大会に関わった多くの指導者やスタッフは、今ごろ疲労困憊のことでしょう。
もちろん、主役である学生たちも疲れはあるはずですが、しばらく練習がないという解放感や、朝ゆっくり眠れる喜びを満喫している頃かもしれません。
私も昨日はさすがに体が重く、出勤するのも一苦労。
仕事終わりの通勤電車では体調の異変を感じ、帰宅後すぐに布団に倒れ込みました。
おかげで今朝には昨夜の熱っぽさも引き、なんとか週の2日目を迎えています。
インカレの観戦記を振り返る
長いようで、あっという間だった5日間。
熱が冷めないうちに、今年のインカレを振り返っておきたいと思います。
すでに結果をご覧になった方も多いかと思いますが、青山学院大学ボート部として挑んだ今年の大学選手権も、結果を残すことはできませんでした。
多くの方に期待していただいていた分、残念に思われた方も多いことでしょう。
その責任は、すべて指導者である私にあります。
一指導者としての不甲斐なさ、そして限界を、今まさに痛感しています。
今年の代表クルーである淡路・白川ペアは、フィジカル面では決して他校に劣るものではありませんでした。
しかし、結果としては技術の差を見せつけられ、またしてもインカレという高い壁に阻まれることとなりました。
大会前日、淡路から「棄権が出たため、準々決勝がなくなり、準決勝進出は上位10クルーのみ」との連絡が入りました。
C決勝も行われないというプログレッション方式に、不安と焦りが先行し、彼らの力を信じきれなかった自分がいたことも否めません。
予選の悔しさ
迎えた初日の予選。ほとんどが未対戦であったことから期待と不安が入り混じる中、レースを迎えました。
ですが、淡路、白川ペアはスタートから持ち味のスピードを発揮できず、出遅れたまま後方での展開に苦戦を強いられます。
週末に見た練習時のスタートでは、思い切りの良さと体重を乗せた艇のトップスピードが彼らの武器であると改めて感じ、できることならブイで跳ねることがないようにと心配していたくらいですが、この日のスタートではそんな勢いも影を潜めていました。
思い起こせば過去2年間のインカレでも緒戦ではスタートで出遅れ、後方からレースを強いられることばかりでしたが、これがインカレ初日に魔物が棲むと言われる所以かもしれません。
500m通過順位は5位、1位クルーとは10秒近い差。2位以降のクルーとも大きく水を開けられていました。
そしてその差はみるみると開いていき、一時は審判艇にも並ばれたことで、波の影響こそ受けなかったものの精神的なダメージを心配したほどです。
その後も差は開く一方で結果は組の4位。
練習時の水上でのトライアルよりも遅いタイムに、ただただ不安が募るばかりでした。
“らしさ”で夢を見せてくれたレース
翌日の敗者復活戦。
C決勝がない以上、上位2艇に入らなければ最終日には進めない。
彼らもそのことを十分に理解していたはずです。
早朝から結城コーチのアドバイスを受け、レースアップでは前日とは違う、スピード感あふれる“らしさ”が戻ってきていました。
船台で送り出すとき、私は淡路に「悔いなく勝負してこい」、白川には「頼むぞ」とだけ伝えました。
二人の表情は、まさに勝負師の顔。気負いや緊張は感じられず、安心して見送ることができました。
そして、敗者復活戦は、まさに理想的な展開でした。
スタートからトップスピードに乗せ、彼らの真髄でもある攻め続ける姿勢は、こちらが思い描いたプランでレースを運び、第1クォーターでは1位クルーに続いて2位をキープ。
第2クォーターを過ぎても、その位置を維持し、私も胸が熱くなりました。
この時点で他艇よりレートが4枚ほど高いことを懸念していましたが、それでも彼らなら漕ぎ切れるだけの力があることを知っていたので、不思議と不安はありませんでした。
「このまま逃げ切れ!」
そう願いながら、何度も「白川ぁ!」「淡路ぃ!」と叫びました。
しかし、第3クォーターで1レーンの艇が猛追。
みるみるうちに差を詰められ、温存していた4位艇にもあっさりと交わされたあげく、残り250m地点では視界に入らないほどの決定的な差をつけられてしまいました。
最後は力ないスパートで残り距離を漕ぎ終えて結果は4位。あと一歩、届きませんでした。
それでも、二人は最後まで果敢に攻め、私たちに夢を見せてくれました。
レース後、彼らの表情を見た瞬間、私もこみ上げるものを抑えきれませんでした。
「お疲れさま」
「ありがとう」
そのときはその言葉だけを、伝えたのを記憶しています。
それくらいに思い切りの良さを見せてくれ、見る者に感動を与えてくれたのですから。
指導者としての責任と決意
選手が主役。
彼らは、今持てるすべての力を出し切り、挑み、そして敗れました。
その現実は、指導者である私にも深く突き刺さるものでした。
レース後、応援者を交えたミーティングで敗戦の報告を聞きながら、私は申し訳なさでいっぱいになりました。
最後の挨拶で言葉を発した瞬間、涙がこぼれました。
その後、自分が何を話したのか、正直あまり覚えていません。
ただ、その時間がとても長く感じられたこと、そして涙を堪えるのに必死だったことだけは、鮮明に覚えています。
監督をはじめて以来、負けることの悔しさはいつも感じていました。
こんなものではない、彼らの努力が報われ、もっと上に行かなければいけない。そんな思いを持ちつつ、現実を突きつけられ涙を呑んできました。
でもそんな姿を決して人前で見せることはなく、次への糧にと常に前を向いてきましたが、この日ばかりは堪えきれない思いを抑えきれずにいたのです。
私は、勝利至上主義を掲げるつもりはありません。
でも、インカレという舞台を目指す以上、また、青山学院大学の名を広めるためにも勝利を求めることは必要だと、改めて感じています。
この大会期間中、何度も「自分の指導の限界」「不甲斐なさ」という言葉を口にしました。
それは、逃げではなく、真摯に受け止めた現実です。
だからこそ、次に向けてどうするか。
それを、今、真剣に考えています。
どれだけ気持ちをこの場で一丁前に語っても、結果が伴わなければ意味がない。
だからこそ、行動で示すしかないのです。
昨年も感じた敗北感、屈辱。
それを、来年こそ晴らすために。
この次の1年が、勝負の年になります。
さて、今回は当部の代表クルーとなった男子ペアのレース回顧を交えて投稿させていただきました。
大会期間は5日間。このペア種目だけでなく、混成エイトでそれぞれが青学ボート部の看板を背負って最終日まで戦ってくれました。
そのレースやその後のことについても時間をかけて振り返っていくつもりです。
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