それぞれの成長

まずはお詫びから。最後の更新はいつだったかと久々にブログを開いてみると20日ほど経過していました。部の近況報告を中心に定期的に発信することを決めてブログを始めたものの、ここまで放置していたのはさすがに申し訳ないの一言に尽きます。

前回の更新時には書き忘れていましたが、最後の投稿は実はあれが記念すべきブログ開始からちょうど丸1年でした。それに満足したわけではないのですが、この間、仕事もちょうど忙しくなり、土日も毎週出勤していると監督業が疎かになっていたのは事実です。

土曜のみは時間を見つけて顔を出すものの選手らとのコミュニケーションもあまり取れずにいましたが、それでも目標が定まっている今の彼らには私の存在はそこまで重要ではなく、それぞれがきっと自らの課題と向き合い、成長した姿を見せてくれるだろうという期待もありました。

こんな気持ちで迎えた本日のクリスマスレガッタ。戸田で行われる唯一の500mのスプリント戦。私自身はボートの主要な大会は500mでやればいいのだと常に言い続けているくらい見応えのあるのがこのレース距離です。最近では中継車や放送でスタートからの経過を追えるようになりましたが、元来ボート競技は観客前では大勢が決していることが多いので、距離が短いほど差が開きにくく、白熱した戦いを目にすることができます。

またスプリントレースであるが故にスタートダッシュが一つの鍵にもなります。レースですからこうしたスタートを磨くということも短い距離だからこそできること。そして何より見る者を魅了する、つまり観客が見ていて楽しいと思えるこの醍醐味こそが、短い距離なのだと思っています。最近ではボート競技よりコースタルローイングに注目が集まっているからこそ、こうしたスプリント戦でボートの面白さを今一度、一般の人に知ってもらえればという思いです。

それはさておき、そんなスプリントレースに今年も当部はチャレンジしました。来週の新人選、スカル選手権の弾みとなるような結果を期待しましたが、ホームページでもご覧いただける通り、男子選手らはいずれも午後の決勝レースへ進出することができ、鏑木に至っては貫禄の優勝を成し遂げることができました。

こちらに関して言えば、インカレに向けたタイムトライアル以来のレースとなったわけですが、それ以降も練習を落とすことなく、他大学の上級生との乗艇で多くの学びを得て、進化していることは傍目で見ていても感じることができていました。いわば当然とも言える結果ながら、やはり1位でフィニッシュして、ゴール後にこちらに向かってガッツポーズを見せてくれた瞬間はやはり胸が熱くなりました。

レース内容は圧巻の一言、スタートから先頭集団に取り付き、200m付近通過時には頭一つ抜け出し、そこからは周りをみながら王者とも言えるレース展開で最後まで差を開くという完勝でもありました。このレース展開をできること自体、彼の成長ですが、それ以上にこれから1年で更にどれだけ伸びていくのか、その期待も高くなるほどの内容だったということを付け加えておきます。

淡路に関しては全日本新人では苦い経験をしましたが、これは経験の差が全てであり、日に日に成長を見せる彼は一番の伸びしろを持っており、こちらも思っていた以上の進化を遂げていました。勤務中、淡路の予選結果がTAより連絡あり、1位入線と聞いて驚いたのと同時に頼もしくも思えました。他艇に肩を並べることすらさせてもらえなかった一ヶ月前から早くも1位フィニッシュを経験するほどに成長したのかと、午後への期待も高まりましたが、午後の決勝Bレースでは残念ながら不発に終わりました。

昨日の練習を見ていてもスタートに難があると心配はしていましたが、レース時間帯は風が舞う嫌なコンディションもあり、その不安が的中し、スタートして数本目でオールを潜らせてしまい、それを何度か繰り返した時点で本人は戦意を喪失しました。これは全日本新人の予選でも見せた彼の姿ですが、この脆さを今後は克服してもらわなければいけません。それでも来週に弾みがつく、価値ある予選通過を果たしたわけですから残り一週間での更なる成長を期待します。

そして全日本新人後に一頓挫あったダブルスカルの鈴木、吉澤ですが、こちらは実に約2週間ぶりとなる二人での乗艇で、ぶっつけのレース出漕となる今回について正直あまり期待をしていませんでした。それでもこちらも決勝Aに進出したと報告を受けて、嬉しさというより、一本でも多く漕げることを安堵したものです。本番は来週ですが、今は一本でも多く漕いで体力と感覚を戻していくことが先決です。

決勝レースでは他艇に比べてスタートから出遅れ、スプリント戦の特性からそのままズルズルという結果に終わったわけですが、こちらは悲観することはありません。それは陸から見た様子が、久々でありながら二人での漕ぎが思ったほど悪いものではなかったからです。早いレートの練習不足も本人たちが口にしていた通りですが、限られた時間でなんとかベストに持っていけるようこの一週間が大事となりそうです。

思い起こせば1年前のこのレースにも鏑木、鈴木、吉澤は今と同じクルーで出漕をしていました。決勝Aで4位に終わった鏑木、ブイに阻まれ不本意なかたちで予選敗退した鈴木、吉澤ダブル。そう考えると1年での成長を感じられる結果を今回出してくれわけですから、これも指導者冥利に尽きると言ったものでしょうか。そう言う意味では他にも成長を感じる出来事がこの日はいくつかありました。

一つはTAが挑んだナックルでの初めてのレース出漕です。限られた時間で練習を重ね、当初数回で十分だろうと思っていたこちらとは対照的に、熱心に練習に励んでくれた3名は無事に出漕の日を迎えました。女子部員が足らず、今回は立教大学のマネージャーに協力をお願いし、これはこれで大変貴重な交流機会にもなりました。昨日はその5人と私でナックル練習をしましたが、あまり教えることがないくらいそれぞれがしっかり行動し、漕いでいる姿を見て感心したものです。

一つの目標に向かって自分達でやれることをやっていく。ごくごく当たり前のことでも見ていて何かそれがとても自然で、前向きな彼女たちを見て、その存在にいつにも増して感謝というか有り難さを感じました。選手の日頃の練習を支え、レースを応援するだけではなく、自分達も同じような体験をすることで今以上の関係や互いの必要性を感じられるのではないかと試みた今回の企画。結果は総合5位と表彰状には届きませんでしたが、これを機会にまたチャレンジしてみたいと私だけでなく、皆がそう思ってくれたことも収穫でした。何よりこの期間で驚くほどの成長を見せてくれた彼女たちを今回は一番褒めてあげたいと思っています。

そして最後にもう一つの成長は元主将である通称ジョンの登場です。前回久々に戸田に足を運んでくれたエースが、ジョンを誘い、今日の試合に連れてきてくれました。今回は多くを語りませんが、彼とはわだかまりが残ったまま、それ以来すっと音信不通となっていたわけですが、昨年末の協賛企画に賛同したいと嬉しいことに自ら連絡をくれたのです。それはきっと彼にとってとても勇気のいった行動だったと思います。

以降、いつの日かまた部に顔を出してくれると信じて待っていましたが、今日、彼と再会し、そして社会人として一段と成長した姿を見て、本当に嬉しく思いました。ミーティングでは自身が最後に優勝して以来のこの大会で、鏑木が優勝する姿を見て、感慨深いものがあったと彼は口にしていました。まさにその通りで、ボート部はこうして直接的なつながりがなくても、思いや関係など多くのものが繋がって今があるのだとも実感しました。

いつも感じることですが、多くの部員らと共に私自身も成長させてもらい、彼ら、彼女らもまたそれ以上に成長をしています。卒業して社会に出た先輩らも皆、こうして逞しく成長し、今を生きている、そう考えるとやはり監督として関われている自分は本当に幸せ者なんでしょう。お金や時間を惜しみ、疎遠になることは簡単です。それでも何にも変え難い価値がここにはあります。私はこれからもここを巣立っていく部員らが、その先さらに成長していけるような経験をここで積んでいけるよう見守っていこうと思います。

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